冬場の補聴器用空気電池の使用について



寒くなると補聴器用空気電池のもちが悪く感じることはありませんか?

これは空気電池の構造上、二酸化酸素量と湿度の影響からおきる問題です。


上記は日本電池工業会から出されている資料になります。

それぞれが二酸化酸素量と湿度変化による電池寿命の変化を表していますが、お互いの悪条件が重なった場合は、54~65%程度しか使用できなくなるとも言われています。

 

こういった空気電池の悪条件として考えられるのが冬場。

室内で暖房器具としてガスや石油を使用する暖房器具の場合は火を使用するので室内の二酸化酸素量が増えてしまいます。

更に冬場は空気中の湿度も低く乾燥しやすい状態で、暖房器具(エアコン含む)を使用すれば更に乾燥し湿度は低下してしまいます。

 

対策としては室内の空気の入れ替えをまめに行い、加湿器などで湿度を少なくとも70%近くにするのが理想的かと思います。

2018年の冬を迎えるうえでの更なる注意!!

今まで日本国内で使用されていた補聴器用空気電池の多くは水銀が微量に使用されていました。

ただ世界的には2013年に水銀条約(水俣条約)として水銀の使用制限が可決され一般製品への水銀使用が規制されていますた。

そんな背景で補聴器用空気電池に関しては、日本の四季を考え、湿度変化・気温変化において空気電池が安定して使用出来ることを考えた処置で今まで水銀の使用を継続していましたが、それも昨年までで終了となり今年に入り製造される補聴器用空気電池は全て無水銀化されています。

(アメリカなどでは2年位前から無水銀化されていました)

 

それにより2018年の冬場は今までとちょっと電池の安定性が変わることも考えられます。

上記はアメリカの電池メーカー、レオバック社からの資料

同社は早い段階から補聴器用空気電池の無水銀化を行っていましたが、ここに明記されているのが発電開始まで1分とされています。

今回 無水銀化された補聴器用空気電池は水銀が使用されていた時に比べ電圧の立ち上がりがかなりゆっくりした感じです。

以前は電池からシールを剥し電池容量を測定しても大丈夫でしたが、無水銀電池ではシールを剥した直後では電池残量が少ない状態になってしまいます。

つまり新しい補聴器用空気電池からシールを剥しすぐに補聴器に入れても電圧が安定していません。

そのため電池交換の合図が補聴器から出たり、音が出ないなどの症状も考えられます。

 

寒い冬場ではより電圧の立ち上がりが遅くなることも考えられるので、1分とは言わずそれ以上 指や手で揉んでから補聴器に入れるようにすると良いかと思われます。